12月
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異業種に学ぶ 「外国人観光客に人気なワケ」 ~ゲストハウス「FUJITAYA」編~

カテゴリ: メールマガジン
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今回のスペシャルインタビューは、海外ゲストが多く利用し、トリップアドバイザーでも人気の宿泊施設「FUJITAYA」を2014年8月オープンし、新しい宿泊施設の運営に挑戦する、株式会社Feel Japan代表取締役、藤田勝光様にお話を伺います。「FUJITAYA」の人気のポイントや、そのおもてなしの極意を是非、お聞きしたいと思います。

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★はじめに、自己紹介をかねて、「FUJITAYA」を始めるまでのエピソードをお聞かせいただけますか?
◎もともと、私自身が旅行好きで、学生時代は長期休みに必ずといってよいほど海外に出かけていました。中でも、世界中の様々な国の人と一緒に旅する、海外現地発着ツアーの魅力にはまってしまい、日数に換算すると、330日くらい参加しました。
学生時代に旅の経験をしたことで、日本でもそのようなツアーがあれば面白いのではないか?と思ったことが、そもそものきっかけでしょうか。日本には豊かな自然があり、キャンピングにはぴったりな国だ!と気づきました。ツアーの起点となるような宿を創り、訪れたゲストたちに日本の魅力をキャンピングツアーで紹介したい!と考えるようになりました。大学を卒業し、社会人になってもその思いは消えず、2006年に退職して約1年をかけて世界一周の旅に出かけ、世界各地のさまざまな宿を訪れました。世界の魅力に触れる一方で、日本の魅力をもっと深く、広く、海外に発信する場所を提供したいと、思いは膨らみ続けました。2007年春に帰国後、半年ほど物件探しをしたものの、自分の望む最適な場所が見つからず、京都の会社に再就職し、その後、香港で3年間駐在しました。アジア諸国の中でも、香港の親日感情はつよく、アジアの中の日本のプレゼンスを実感し、私自身、日本の素晴らしさを再確認する良い機会にもなり、「FUJITAYA」をオープンする気持ちがさらに強くなりました。2012年9月、日本に帰任後、週末の度に土地を探してまわり、半年経過したのち、今の「FUJITAYA」があるこの場所に、宿を創ることに決めました。

★夢を現実のカタチにする時に、まず、何をなさいましたか?
◎最初に、世界の宿をたくさん見に行きました。世界的にレベルが高く人気がある宿を調べ、宿をみるために、ポルトガルのリスボンやマレーシアのクアラルンプールに行ったり、旅行者目線で何が必要なのか?自分なりに考え、参考にしました。その視察旅行からインスパイアされたことを「FUJITAYA」にすべてつめこみました。

★実際にゲストハウスを運営していかがですか?
◎結果的には、私が望んでいた、日本の文化やライフスタイルを体験したい、ローカルの人や他の旅行者とコミュニケーションを大事にするゲストがたくさん宿泊してくれています。

★「FUJITAYA」がゲストの皆さんから評価をいただいているのは、どんなところだと感じますか?
◎たこ焼きパーティーをしたり、鍋パーティーをしたり、毎週のようにイベントをしています。宿泊というより、ホームステイの感覚で、アットホームな雰囲気を楽しんでもらっています。それが、トリップアドバイザーなどのサイトで評価をいただいているように感じています。私を含めスタッフみんなで家族のような、さりげなくあったかいおもてなしをしていることも大きなポイントだと思います。

交流

★海外からのゲストが求めているものを具体的に教えていただけますか?
◎やはり、日本の食べ物や日本でしかできない体験です。
「FUJITAYA」の近くに銭湯があるのですが、興味があるゲストと一緒に行っています。地元の人が通う銭湯に行く機会は、旅行客にはなかなかありませんから、日本の日常に触れる体験にもなっていると思います。他にも、近所のレストランで地元の人と触れ合ったり、ゲストのハッピーに繋がる体験を提供しています。

体験1

★「FUJITAYA」でゲストをお迎えするスタッフには、どのようなことに気を配るようお話ししていらっしゃいますか?
◎スタッフは、私の思いを理解し、共感してくれているため、特別にお願いしていることはありませんね。私が言わずとも、ゲストに地図を用いて、京都の見どころを伝えたり、細かい気配り、心配りを自然にしてくれています。ゲストとホストという関係性ではなく、友達が来たという感覚で接するようにしているので、絆が深まり、世界中に仲間が増えていっていることを実感できます。「宿の仕事としての喜び」を越えた価値を、スタッフとともに感じています。「また帰ってきたい場所ができた」そう思ってもらえる場所作りをスタッフとともに、続けていければうれしいですね。

案内2

★「FUJITAYA」を始めようと考えてから、あたためていた期間を考えると、とても長い年月を経ているのですが、運営する前と、始めてから今日までに感じたギャップはありましたか?
◎それが、不思議なくらい理想と現実がピッタリなんです。運営上、近所・地元への配慮の大切さや、周りの方々に理解していただくことはとても重要だと考えていました。ご近所の方の中には、ゲストを当宿まで道案内してくださる方も多く、そういったご協力は想像以上でしたので、うれしいギャップはあったことになりますね。

★おもてなし・サービスの具体的な例をご紹介いただけますか?
◎特別なことをしている感覚は全くなく、当たり前のことを自然にとしか言えないのが申しわけないのですが…。自分が旅行した時に、嬉しかったこと、感動したことを思い返してみると、さり気なく自然に優しくしていただいたことばかりだったんです。ですから、誕生日の人がいたらサプライズで喜びを共有したり、小さい子どもにはお子様用の食器を揃えておもてなしをしてみたり、友人や家族がするような気持ちで、自然に人を思いやることができたらいいなと思っています。

★では、目に見える具体的な部分といたしまして、「FUJITAYA」を設計する際のポイントなどはありましたか?
◎ゲスト同士がコミュニケーションできる広いリビングスペースを確保することを重視し、そこから、部屋の広さのバランスを考えました。
階段の位置もポイントとしました。玄関から入って、必ずリビングを通ってから部屋に行く造りにしました。そうすれば、スタッフは、ゲストに必ず声を掛けられ、ゲスト同士も、リビングの空間にてコミュニケーションをとる機会が多く生まれます。そのために意図的に階段の位置をデザインしました。

★まさに、おうちに子どもが帰ってきたときに声をかける雰囲気ですね。
では、ゲストを迎えるお部屋のイメージで大切にしているところはありますか?

◎部屋は、あえて広くせず、寝るだけの空間と考えました。くつろぐ時、みんなと話す時にはリビングに集まってもらえるよう、日本の一般家庭を思わせる作りにしました。どこにいても日本を感じてもらいたく、日本式のスタイルである畳で寝てもらうために、全室畳部屋にしました。
幸い、「初めて畳で寝たけど、心地よかった!」と感想を言ってくれるゲストもいます。布団のたたみ方の説明方法を部屋に置き、畳が初体験の人にも、自分で布団をたたむという日本スタイルに触れてもらえるよう工夫しています。自分でやることで、よりエクスペリエンスをしてもらいたいと思っています。琉球畳、障子、ウォシュレット(自動開閉式)のトイレ、灯りなど、ゲストが快適かつ日本を感じられるよう、細かいところまで熟考し、できるだけ日本テイストにしました。
スタイリッシュも大事ですが、日本式の居心地が良い雰囲気をつくることを大切にし、高いテーブルや椅子は置かず、ローソファを置いて空間を広く見せる、視覚的効果にも気を配りました。ちょっとしたイベントやワークショップなどもできるようにと空間を広く作ったので、世界からくる旅行者と、ご近所の方々が触れ合える交流イベントの機会を今後は増やしていきたいと考えています。

内装1

★これまで「FUJITAYA」の運営を続けて来られた中で、難しいと感じたことはありますか?
◎優秀なスタッフの確保ですね。今いただいているゲストによるレビューの高評価もスタッフの日頃の積み重ねの結果です。私の想いを理解し実行してくれる人、相手のことを考え行動できる人、さらに英語でのコミュニケーション能力が必須になりますので、そういった方にいかに心地良く仕事をしていただくか。FUJITAYAで仕事をするスタッフのハッピーがゲストのハッピーにダイレクトに繋がっていますので、みんながハッピーな状態はとは?何が必要か?を考え続けています。「FUJITAYA」を軸にして、日本を伝えたい!と心から思う人と一緒に「FUJITAYA」を中心に繋がる、世界中の人たちとの「ご縁」を大切にしていきたいですね。

★これからインバウンドへの取り組みを考える企業、個人の皆様に向けて、メッセージをお願いします。
◎相手の目線で考えてあげることでしょうか。難しいことではなく、相手の立場にたち、自分だったら、どうされたら嬉しい!と感じるだろうか?その想像を働かせてみる。それだけでよいと思うんです。それから、自分たちがなにげなく見ている景色は、海外からのゲストにとっては新鮮に映る。彼らにどうみえているか?という想像力も必要だと考えています。してあげるというよりも一緒に考える、寄り添うという気持ちで取り組めば、自然と求めていることが提供できるようになると思います。

★これからの「FUJITAYA」の挑戦を、最後に教えていただけますか?
◎「FUJITAYA」をベースに、ガイドブックには載っていない、日本の日常やさらに奥深い日本を体験するツアーを行いたいと考えています。自転車ツアー、日帰りツアーからスタートし、宿泊を含めたキャンピングツアーも行い、数年後は日本縦断ツアーなども行いたいですね。それを通して、いろんな日本を感じてもらいたいです。それこそが、私が起業した使命だと感じています。会社の名前はFeel Japan(日本を感じる) にしたのですが、名前のとおり、日本を感じる機会をいろんな手段で具体化していき、海外の人のみならす、日本人も含め、もっと多くの人に日本の魅力を伝えたいですね。


pongnathee kluaythong : Shutterstock.com
pongnathee kluaythong / Shutterstock.com

『スタッフの方へもインタビュー!!』

★「FUJITAYA」スタッフになったきっかけと、期間等を教えてください。
◎縁あって、昨年8月からFUJITAYAでお世話になっています。
自分自身に世界各国のメンバーと共同生活をした経験や温泉宿泊施設で勤務した経験があり、すんなり溶け込んで、今に至ります。

★ゲストをお迎えする時に大切にしていることは何でしょうか?
◎日本人でも海外からのゲストでも、ときに家族や友人のように、ときにお客さまとして、その人、そのときに合わせて、心を込めて温かく迎え入れることですね。
人種や年齢越えて、人間的なふれあいを大切に、ゲストと共に過ごすことを大切にしています。

★スタッフのやりがいはなんでしょうか?
自分の心持ちひとつで相手が喜んでくれるところですね。単なるアコモデーションではなく、人とのコミュニケーションを大切にしたい人、FUJITAYAにいるみんなと共に楽しみたい人が泊まってくれ、ゲストはもちろん私も一緒になって、楽しいときを過ごせることが何よりうれしいです。

それから京都ならではのローカルな体験をしてもらえるように、文化体験のオススメをしたり、またFUJITAYAの近所のお店などを紹介したマップをゲストにお渡ししたりしています。ゲストと触れ合う中で、あえて京都を選んで来てくれる人、西日本を重点的に回る人が増えてきていることを感じています。ゲストからは、具体的に「◯◯がしたい。どこか紹介して」と言われることも多く、日本のことを知りたい素直な欲求を強く感じますし、日本への理解が深い人がたくさんで、嬉しいです。ゲストに情報と体験をシェアするために、まずは私がもっと日本の文化を知らなくてはと、ゲストに気づかせてもらう毎日です。

★具体的な「FUJITAYA」のオススメポイントをお聞かせください。
◎日本の文化体験をご紹介できるところですね。FUJITAYAの近所には、茶道、お酒(試飲、歴史)、書道、料理、和太鼓など、様々な日本を体験できる施設が揃っています。人と文化との触れ合いの中で、もっと日本を知ってもらえてたらと思います。
それからゲストに合わせた観光コースを提案しているところです。ゴールデンルートと呼ばれる、伏見稲荷大社、嵐山、清水寺、八坂神社に行くルートから、穴場ルートまで。要するに、ゲストの要望に応えるプランを数多くご用意してお待ちしています!

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★では最後に、今後の目標をお聞かせください。
◎ゲストの皆さんにとって「FUJITAYA」が、思い出の一ページになり、何度も帰ってきたくなる場所になるようにしていきたいですね。

取材協力:
「株式会社Feel Japan」代表取締役 藤田勝光 様
「FUJITAYA Kyoto」マネージャー 日下星乃 様

http://fujitaya.in/ja/

http://www.tripadvisor.jp/Hotel_Review-g298564-d7160612-Reviews-Fujitaya-Kyoto_Kyoto_Prefecture_Kinki.html

https://www.facebook.com/Fujitaya-Kyoto-163023633908189/